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霊園事業にはCRMが不可欠

2024/03/01

 墓地・霊園では、使用者(契約者)の氏名・住所・電話番号をベースに顧客管理を行っているが、顧客のメールアドレスを積極的に収集しメインのコミュニケーション手段として活用しているところはほとんどない。契約者の世代交代が進むなか、メールアドレスやSNSアカウントの登録を促進し、早期にOne to Oneコミュニケーション環境を構築し、CRMを開始すべきである。

 全国で毎年160万人が死亡しており、特に人口が集中する東京圏においては墓地は慢性的な不足状態が続いている。また、日本人のライフスタイルおよび宗教心の変化にともなって、遠方にある家族墓をしまって、住居地に近い霊園や納骨堂などに改葬したいと考える墓地継承者が増加している。遠方であっても家族墓を継承する権利があるのであれば、管理費を支払って家族墓を使用しつづけることをすすめる専門家も少なくない。わざわざ高額な費用を支払ってまで、住居地に近い墓地や納骨堂を手に入れるのはもったいないということである。たとえ遠方にあっても継承者が無理なく墓守を継続するしくみがあるのであれば、急いで墓じまいする必要はないはずだ。

 CRM(顧客関係性マネジメント)とは、顧客との継続的なコミュニケーションを通じてLTV(生涯価値)を最大化させるダイナミズムである。寺院や霊園でCRMを実践するためには、まずは顧客という概念を定義することからはじめたい。従来の霊園にとっての顧客とは使用者(契約者)本人であり、寺院にとっての顧客とは檀家だといえよう。サステナブルな墓地経営を目指すためには、故人の親戚や縁者・友人含む施設を利用するすべての人を顧客ととらえなおし、顧客サービスを拡充しなくてはならない。

 そもそも、家族墓の利用の経験がほとんどなくその使用価値を全く感じられない人が、自分や配偶者が埋る場所としてその家族墓を喜んで継承するとは思えない。使用価値のKPIとして、故人(区画)に対する墓参者数や合同法要の参加数などが上げられよう。たとえ現住所から遠方の墓地であっても、バーチャル(オンライン)で気軽に墓参したり法要に参加したりできれば、故人(区画)あたりの使用価値を増大させられる。契約者本人の墓参頻度や参加率を高めると同時に、親戚・縁者・友人へと利用者を拡大することが、LTVの最大化につながる。また、バーチャル墓参やオンラインを経験した子孫は、オンラインで自分が弔いされる姿が容易に想像できるようになり、すすんで家族墓を継承するようになると予想する。また、サステイナブルな墓地経営のためには、墓地を利用者する人から対価が得られるサービスの構築が急がれる。そのために、まず顧客の定義を見直し、受益者負担の新サービス(事業)を開発しなくてはならない。

 CRMを実践するためには、One to Oneコミュニケーションの環境構築が急務である。具体的いうと早期に顧客のメールアドレスを収集する必要がある。しかし、ユーザーに十分なベネフィットを提供できなければ、既存の顧客であっても新たにメールアドレスを取得するのは困難な作業といえる。会員にとって魅力的なコンテンツを提供することは、オプトイン取得のソリューションとなる。具体的なコンテンツのアイデアについては、別の機会に述べたいと思う。